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加藤裕康
KATO HIROYASU

加藤裕康

日本事業承継アドバイザリー株式会社 代表取締役社長

中小企業がもつポテンシャルを顕在化し、
価値を高めるM&Aで日本はもっと強くなれる。
企業を成長させる有効手段として上場企業を中心に定着してきたM&A。近年では中小企業における事業承継の手段として注目されているが、すべてが成功しているとは限らない。日本事業承継アドバイザリー株式会社(以下JABSA)の代表取締役社長、加藤裕康氏は“顧客の最善の利益のために”を理念に、主に中小企業のM&Aに関するアドバイザリー業務を行っている。
加藤裕康 ※画像はイメージです。
日本が成長する鍵を握る中小企業の事業承継。

大学在学中に公認会計士の資格を取得した加藤裕康氏。卒業後の1992年、世界4大会計事務所のひとつであるKPMGのニューヨーク事務所へ入社し、日系企業の監査業務などで経験を積んだ。帰国後はKPMGコーポレイトファイナンスでM&Aアドバイザリー業務に従事し、2004年にM&AアドバイザリーのGCAを共同設立しパートナーに就任。そんな華々しい経歴をもつ加藤氏が、独立系では世界トップ5に入るほど急成長したGCAを離れ、自身が設立したJABSAを本格的に稼働させた。

「以前から地方創生や地域活性化に興味があり、中小企業が元気にならないと日本は強くなれないと思っていました。そのために避けて通れないのが中小企業の事業承継問題です。GCAはクライアントが上場企業中心で大きな案件しか取り扱わないため、2018年にJABSAという受け皿となる会社を設立。中小企業が対象となるM&Aは決して大きなマーケットではありませんが、これまでの経験を活かして何かできることはないかと思い本腰を入れて活動することとしました」

会社を買収したい、もしくは売却したいという顧客に対して、アドバイザリー業務を提供する会社にはさまざまな業態がある。銀行や証券会社、コンサルティング会社などが行うこともあるが、多くはM&A仲介会社、M&Aアドバイザリーと呼ばれる業態の会社が受けもつ。M&A仲介会社はその名の通り、買い手と売り手の間を仲介し、M&Aアドバイザリーは買い手または売り手のどちらか一方に付いて、アドバイスなどを行い契約成立までをサポートする。

「JABSAはどちらかに付く片側アドバイザリーに特化。この業界では成功報酬型の報酬体系をとる会社が多く、どうしても顧客のメリットよりも成約を優先することで利益相反を招いてしまうことがあります。JABSAでは顧客の要望に応じて柔軟に対応できるリーズナブルな報酬体系を用意し、顧客の利益を守ることに専念。案件の評価やリスクの洗い出し、セカンドオピニオンサービス、スキームの提案など、さまざまなアドバイザリー業務を行っています」

中小企業を取り巻くM&Aは、オーナーの高齢化による後継者不足などの理由で会社を手放したいという会社が増えマーケットが拡大。全体のM&A件数は2019年には4000件を突破した。買い手と売り手を結び付ける仲介会社によるマッチングサイトが増え、クリックひとつで膨大な情報にアクセスできる便利さから活況を呈している。一方で、売り方を工夫したり手間暇をかけたりすることで、買い手にも売り手にもバリューアップをもたらす事例が隠れたままになっていて、こうした点にフォーカスを当てるのがJABSAの狙いである。

「例えば、現状では100%の株を売る、または買うというのが中小企業のM&Aなのですが、条件によっては最初に65%の株を売って、数年間はジョイントベンチャーの形でビジネスを展開し会社の価値を高めていく。そして、価値が高まったところで残りの35%を売るという方法も考えられます。こうした手間暇のかかるやり方は誰もやりたがらないのですが、買い手と売り手のニーズをぶつけ合って双方のためになるスキームに対して多様なソリューションを提供することが可能。JABSAにはそんな役割が期待されているのではないかと思っています」

加藤裕康
職業人×自然人×音楽人で日本を活性化。

買い手の中心となる上場企業はこれまでにM&Aを繰り返すことで、経験やノウハウをどんどん身につけていったが、最近では同じくらいの規模の会社を買収して成長していきたいと考えている中小企業も増えている。つまり、同じ買い手でも経験の差によって二分化しており、経験の少ない企業が最善のソリューションに辿り着くためのアドバイスを気軽に利用できる環境を整備していくこともJABSAの役目としている。

「償却前利益を表わすEBITDAと呼ばれる指標についても、7~8倍が買収価格の相場といわれていますが、これは事業が永続されることを前提とした上場企業の場合であり、すべての価値がオーナー社長に集中しているような中小企業になると話は変わってきます。また、一般的なニュースでもよく聞くようになったのれん代にしても、中には負ののれん代を抱えている会社もあるので、注意しなければいけません。オーナー企業の場合、のれん代はオーナー社長がもつカリスマ性やノウハウなどに帰属していることが多く、のれん代の価値をいかに上げられるかも重要な仕事の一つです」

M&Aは企業にとって多大な労力の消費を伴う活動である。加藤氏の話によると、中小企業を取り巻くM&Aについて問題意識をもち、地域密着型で地元の力になろうとしている人も増えているという。JABSAでもそのような人たちと手を組み、問い合わせがあった企業からニーズを吸い出し、情報の収集・提供からスタートするなど、顧客に寄り添い使い勝手のいい存在としてあり続ける。そのために強力な武器となるのが、30年近くにわたって築き上げてきた加藤氏のキャリアである。

「実は優良な売り案件については、買収される会社を確実に活かすことのできる買い手を引っ張ってきて、クローズドな状況で健全な競争環境を整え、その中でM&Aが行われることが多いのです。私はGCAで20年以上アドバイザリー業務に携わってきた経験があるため、そのネットワークを活用することが可能。買収する側の上場企業を募ることができ、それによって売り手の価値を最大化することができます」

中小企業の活性化に労力を注ぎ込む加藤氏だが、実はビジネスパーソン以外にも多彩な顔をもつ。株式会社チェリーズガーデンという別法人を立ち上げ、この会社では食の安全や空き家、休耕地といった問題に取り組む。また『加藤ヒロ』名義でプロのシンガーソングライターとしても活動し、名古屋のZIP-FMではレギュラー番組『MIDNIGHT RUNWAY』のパーソナリティーを務めている。

「M&Aアドバイザリー業務を職業人、SDGsのような目標への取り組みを自然人、そしてミュージシャンとしての活動を音楽人と定義。例えばラジオ番組で地方創生に頑張っている人を紹介するなど、それぞれの活動を掛け合わせることで新しい何かが生まれます。目指しているのは中小企業と同様に個人の価値の健在化。私一人でできることは限られているので、さまざまな人たちを繋げていくことで、本当の意味での地方ひいては日本全国の活性化が実現するのではないかと思っています」

加藤裕康

日本事業承継アドバイザリー株式会社 代表取締役社長
https://jabsakk.com/
※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。