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金本博明
KANEMOTO HIROAKI

金本博明

日本セラピー株式会社 代表取締役

会社組織として事業を拡大しながら、鍼灸整骨院の新たな可能性を見出す。
柔道整復師、鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師は、厚生労働大臣により医業類似行為が認められた国家資格をもつ専門家。資格取得後は独立開業権を与えられるため、実務経験を積んだ後に個人で開業するケースが少なくないが、会社組織としての強みを生かして事業を展開する道もある。大阪を中心に16の鍼灸整骨院を展開する日本セラピー株式会社の代表取締役である金本博明氏に話を聞いた。
金本博明
■東洋医学、現代医学、経験知をかけ合わせた独自療法

問診、目視、触診などで原因と症状を明らかにし、状況に応じて最適な治療を行うことを心がけています」と話す金本氏自身、柔道整復師と鍼灸師の国家資格をもつ経営者だ。手で筋肉を刺激し血行不良を改善する手技治療、歪みを矯正し神経と血管の圧迫を改善する背骨・骨盤矯正、ツボに刺激を与え自然治癒力を働かせる鍼灸治療など、出血を伴わない保存療法で体の痛みを和らげる治療を提供している。プロ野球選手を目指した少年時代、肩や肘を痛めると、叔父が経営する整骨院に通った。叔父の手にかかると、みるみる痛みが和らいでいく実感があった。その経験から、ごく自然に叔父のような治療家を志すようになったという。

叔父の後を追うように資格を取得した金本氏は、東洋医学と現代医学を融合させた独自の治療法の開発に着手する——。自律神経失調症や鬱の症状を、鍼灸や整体によって和らげる、自分なりのスタイルを模索する日々が始まった。「ストレスがかかると無意識に体が緊張することがある。緊張すると呼吸をする時に補助的に動く筋肉が凝り固まり、息苦しさを感じたり、疲れが取れないといった症状が出る可能性があります。また、脳につながる首の椎骨動脈の流れが悪くなると、思考が鈍くなるケースも考えられます。鍼灸というのは数千年にわたる経験知の蓄積ですが、たとえば頭痛にはこのツボが効くとわかっていても、なぜそれが効くのかは厳密には解明されていなかった。それを現代医学と重ね合わせ、効果を理論的に解明することで、鍼灸・整体からの改善を試みるイメージです」

きっかけとなったのは自身の不調だった。家族や周囲の協力を得て、考えられるすべてのストレス源を取り除いたつもりでも、改善された実感がないことから、心的原因だけではなく体にも原因があるのではないかと思い至った。自身の不調の原因を突き止めて、何としてもストレスフリーな日常を取り戻したい——。専門書を何冊も読み、自分の体で検証しながら治療法を確立すべく試行錯誤を繰り返す。これらの蓄積をマニュアルに落とし込み、研修などを通じて周囲のスタッフにも伝えていった。年月を重ねる中で少しずつ改良を加えた結果、悪い箇所をより的確に判断してツボを抑えられるようになり、施術時間の短縮にもつながった。結果的に、技術力をもったスタッフが育ち、現在の同社の事業拡大を支えている。

金本博明
スタッフの自己実現を叶える組織システムとは

以前は技術を身につけた後、独立を目指して退職するスタッフが多かったが、現在では組織の中で、会社をより良く、より大きくしていきたいというスタッフが増えてきた。そこで金本氏は社内でステップアップする仕組みづくりに取りかかった。目標を達成していくことで、主任、副院長、院長、本部マネジャーと役職が上がっていく。さらに同社が出資して新会社を作ることができるのれん分け制度も策定。現在までに、2社が設立された。院長や社長になる可能性もある。そして何よりスタッフが自己実現のイメージを抱くことができるシステムだ。

社内の制度作りに力を入れる背景には、独立開業の厳しい現実がある。厚生労働省の平成28年衛生行政報告例によると、鍼灸・柔道整復を含むマッサージ業他の施術所の数は、2006年は10万8139ヵ所だったが、16年には13万6460ヵ所まで増加。競争が激化し、独立する技術はあっても経営面で苦労することが多いのだという。「当社の制度であれば、役職が上がる過程で、経営の知識も身につけることができる。スタッフ一人ひとりの責任感が増し、前を向く力が強くなり、グループ全体の成長につながっていると感じる。キャリアプランは人それぞれでいいが、誰にとっても人生をどれだけ豊かにできるかが重要だと私は考えています。目標をもって生きていく人たちが、溌溂と働いている。そんな組織作りをしていきたい。将来的にはこの中から30人の社長が生まれてほしいと思っています」

「全社員の物心両面の幸福」は同社の掲げる経営理念の一つだ。同社のグループとして開業すれば、個人で開業するよりも多くの患者様と接することができるかもしれない。一人では思いつかないようなアイデアも生まれるかもしれない。「より多くの患者様の喜びと幸せに貢献する。そこに我々の存在価値があると確信しています」。そう力強く語る金本氏は、同じ志をもつスタッフとともに、会社組織だからこそ実現できる、新たな治療の可能性を模索し続ける。

金本博明

日本セラピー株式会社 代表取締役
https://nihon-therapy.co.jp/
※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。