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岩崎 真弥
IWASAKI MASAYA

岩崎 真弥

株式會社大一洋紙 代表取締役

さまざまな紙の販売を軸に、新たな紙製品の提案を通じて
資源循環型産業である紙の魅力をアピールしたい
板紙や包装用紙、印刷用紙などのさまざまな紙を販売する大阪の老舗、株式會社大一洋紙。ペーパーレス化が進む時代にあって、紙の魅力、紙だからこそ伝わるものにこだわって、新しい事業にも積極的に取り組んでいる。4代目社長である岩崎真弥氏の挑戦をご紹介しよう。
岩崎 真弥
画像はイメージです。
4代目としての重圧に悩んだ就任当時

大阪・船場の地で1915年に創業して以来、100年以上にわたって「紙」の販売を行ってきた株式會社大一洋紙。板紙や包装紙、印刷用紙などのさまざまな紙を製紙メーカーから仕入れ、印刷会社など多くの紙を必要としている企業に販売するのが主な業務だ。
「Foot Work」、「Heart Work」、「Head Work」の理念にもとづき、顧客の要望に真心こめて素早く応えることを徹底しており、大阪市と大東市に構える自社倉庫からスピーディに配送することが可能だ。

「代表取締役を務めているのは、宿命のようなものですね」と語るのは、4代目の岩崎真弥氏。元々は、会社を継ぐ気持ちはなかったのだと言う。
「小さい頃からメディア関係の仕事に憧れがあって、学生時代の就職活動は当初マスコミ方面ではじめました。一応父には紙関係の会社を選んだほうがよいのかと相談したのですが、父には『お前の好きなこと、やりたいことができる会社を選んでよいよ』と言われたのです」

ところが父から就職活動の進捗を聞かれてマスコミに進むと伝えたところ、告げられたのは「将来、お前は大一洋紙で仕事をするのだから、まずは紙を造る勉強をしてきなさい」という言葉。「もちろん驚きましたよ。『話が違う』って。でもよくよく考えれば、曾祖父からはじまった岩崎家の家業を父の代で終わらせてしまうことは想像できないなとも思ったのです」

そこで岩崎氏は1996年に大一洋紙の主力仕入先である大昭和製紙(現:日本製紙)に就職。「紙の知識や魅力を勉強することが、将来、大一洋紙に戻ってから役に立つ」という父の教えに従って工場勤務を希望し、約5年間紙造りに携わった後、2001年に大一洋紙に入社した。
当然「いつかは必ず後を継がなければならない」という覚悟はもっていた岩崎氏。しかしその時は思っていたよりも早く訪れた。13年に先代社長の父が脳梗塞で倒れてしまったのだ。岩崎氏は社長代行を経て16年1月の定時株主総会で代表取締役社長に就任することとなった。

就任してまず思ったのは「弊社社員の雇用を守らなければならない」ということだったと岩崎氏は語る。「社員だけでなく社員のご家族の幸せをどうすれば守ることができるのかとも悩み、その重圧に押しつぶされそうになったこともありました。しかしいろいろと悩むよりも、私の考えを表現すべく実行に移すことで気持ちを切り替え、必死になって仕事に向き合いました」

岩崎 真弥
紙のよさを再認識してもらえる世の中にしたい

急遽社長になったことでもうひとつ辛かったのは、入社以来仕事を教えてもらってきた先輩たちが突然部下になってしまったことだという。年上の部下がたくさんいる環境にジレンマを感じつつ、年月だけが経過していった。

「しかしある日、父の右腕としてずっと支えていただいていた当時の専務から『社長が私を右腕にしたように、あなたも一日でも早く右腕、左腕となるような信頼のおける社員を見つけなさい』と助言をいただきました」
すると、今までと違った角度で社内を見られるようになったと言う。
「『私も早くそういう社員を見出せるように』と心がけることで、社内全体の社員への見方が変わっていきました。以来、年上はもちろん、年下の方に対しても謙虚になってコミュニケーションをとること、何事に対しても絶対に知ったかぶりをせず常に謙虚に真摯に向き合うようにしています」

コロナ禍を経て政府はDXを推進し、「ペーパーレス」化が進む昨今。紙を大量に消費することは環境破壊に繋がるという風潮もあり、紙業界は厳しい目で見られがちだ。
「しかし紙パルプ業界は、何十年、何百年もの間、環境を意識してリサイクル活動を率先してきた業界の一つです。脱プラスチックの動きを受けて、大手飲食店が紙製ストローの導入を決めるなど、リサイクル率が高く環境にやさしい紙素材が見直される動きもあります。
今一度、紙のよさや重要性を再認識してもらえる世の中にしたいですし、『紙業界で仕事がしたい!』と思ってもらえるような、魅力ある業界にしたいですね」

大一洋紙ではメイン業務である紙の販売だけではなく、紙を使った製品の製造・販売をはじめ、和紙に抗菌加工を施すなど、紙を活用したエコ商品の開発に積極的に取り組んでいる。「お客様のご要望に沿ったデザインや形をご提案したり、新たな紙の利用法を考えるなど、今まで行ってない取り組みを社員一丸となってチャレンジをしていきたいですね」と語る岩崎氏。
21年には包装資材の設計・製造を行う株式会社イクタを傘下に加え、素材の提案から包装作業まで一貫して行える体制も整えた。「長い歴史のある紙ですが、研究すればまだまだ新しい魅力が見いだせると思います。また個人的にも『同じやるなら何をするにも楽しんで実行する』という社長就任当時からの想いを大切にして、これからも挑戦を続けていきたいですね」

岩崎 真弥

株式會社大一洋紙 代表取締役
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※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。