医療に関するあらゆる情報をワンストップで提供
調剤薬局を大阪から全国に展開するニューロンネットワーク株式会社。2002年の創業以来、着実に業績を伸ばしている同社が目指すのは、薬局をトータルヘルスケアの窓口とすること。
「例えば皮膚アレルギーひとつとっても皮膚科だけではなく、ストレスからの可能性が強ければ心療内科も受診した方が良いのですが、一般の方が判断するのは難しい。そんな場合に薬局で適切な病院を紹介できます。その他にも薬やサプリメント、行政サービスなど、医療や介護に関することについて旅行代理店のような感覚で何でも相談できる場にしたい。現在調剤薬局は全国に約6万店ありますが、薬を出すだけならその半分でいい。しかしかかりつけ薬局として相談所としての機能をもつなら現在の数でも成り立ちます」と語る、代表取締役社長の石田行司氏。
また同社ではこれと並行して、オンライン診療やオンライン薬局などの整備も行っている。新型コロナウイルス禍が転機となり、今後はこれらの普及が進むと石田氏は語る。
「以前から、問診を経て採血や測定を行い、薬を処方するまでのプロセスに常に数時間かける意味はないと思っていました。新型コロナウイルス禍によって、多くの人が都市部に集まることや通勤が本当に必要なことなのか、疑問を抱くようになりました。リモートワークの普及など働き方が変わるなか、医療も変わります。ただ、医療は究極のアナログビジネスでもある。すべてをオンラインですませることはできません。トラブルにすぐ対処でき、困ったときに相談できるかかりつけの薬局は必要です」
そこで今後は地域の各薬局によって形成されるネットワークのハブとなる薬局をつくっていきたいと言う。
製薬会社に勤務していたころは、史上最年少管理職に就任するなど出世街道をひた走っていた石田氏。そんな氏が起業したのは、当時2歳の次女がインフルエンザ脳症によって重い障害を負ったことがきっかけだ。
「泣いている暇もないぐらい、通院や役所の手続きに忙殺されました。医療従事者の私ですら苦労したのに、もし身寄りのない高齢者や身体の不自由な方ならどれほど大変か。このとき、日本の医療システムを変えなければいけないと心から思いました。そして起業して、病気の予防から治療、再発抑制、介護保険の申請までワンストップで情報を提供できるような薬局を作ろうと決心したのです」