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林 譲
HAYASHI YUZURU

林 譲

株式会社エグゼクインターナショナル 代表取締役

人の笑顔を見たいという思いを胸に、
イベントから空間デザインまで幅広く手掛ける。
「パーティは一夜限りのもの。終わったらなくなってしまいます。だからこそ意義深いのですが、数年前から形として残る仕事に力を入れていきたいと思うようになりました」と語るのは、ハイブランドのパーティを中心にイベント制作を行う、株式会社エグゼクインターナショナル代表取締役の林譲氏。政治家の家系に生まれ、幼少時から上質なものに囲まれてきた林氏は、生まれ育ったのが渋谷ということもあり、アメリカンカルチャーにも大きな影響を受けた。
林 譲
ゲストの笑顔を見ることが何よりの喜び

「なかでも好きだったのは、シチュエーションコメディの『奥さまは魔女』。魔女の妻をもつ夫の仕事は、広告代理店のセールスマン。ボードを使ってプレゼンするシーンを見て『僕もこういう仕事に携わりたい』と思うようになりました」

大学生になると、PR事務所でアルバイトをしながら、徐々に知識と人脈を広げていった。当時はディスコブーム全盛期。学生ながら数々のユニークなディスコイベントの制作を手がけ、それを機にこの業界に入ることとなる。入社したイベント制作会社で、プロデューサーとしてラグジュアリーブランドの仕事に携わる機会が増えていくうちに、自分が目指す方向が定まってきたという。

「私は、ゲストがときめくような感動をご提供し、その笑顔を見ることが好きなんです。それにはショーのような演出の場より、パーティのようなおもてなしの場が向いていると思いました」

こうして1990年に立ち上げたのが、エグゼクインターナショナルだ。以来30年以上にわたり、ルイ・ヴィトン、カルティエ、バカラといったハイブランドのイベントから芸能人の結婚式に至るまで、林氏は招かれた客の記憶に永く残る特別なパーティを数多く手がけてきた。パーティの企画に着手する際に大事にしているのは、ゲスト目線で考えることだ。

「自分がやりたいことはいったん置いておいて、まずはゲストが何に注目するだろうということからコンテンツを考える。そのうえで自分の目線での工夫を盛り込んでいきます」

近年はいわゆるインスタ映えするビジュアルばかりに注力したイベントも多いが、アプローチからメイン会場まで、全体を俯瞰で見たときの流れやバランスも重要だという。
「私の場合、ターゲットを想定すると、頭の中にゲストが楽しんでいる姿が全体像として浮かんできます。そのなかに自分の目線を入れて見渡してみると、『ここにはこのぐらいの大きさのこういうものが必要だな』という具体案が見えてくる。そうやって自然にプロットが出来上がっていくのです」

林 譲
形と名を残すため、さまざまなアイデアを発信

パーティを次々と成功させていくなかで、10年ほど前からは空間のデザインやプロデュースの依頼も増えてきた。2011年に竣工した「アークヒルズ フロントタワー」のモデルルームを筆頭に、13年に森ビルが手掛けた神山町の分譲住宅「Case」のモデルルーム、17年に渋谷に開業したホテル「TRUNK」では、アートディレクションを担当。20年に青山ベルコモンズ跡地にオープンした複合ビル「the ARGYLE aoyama」では、ロゴやネーミングの企画・提案で協力している。

「表現方法は違えど、基本的なスタンスは変わりません」と語る林氏だが、こうした空間の仕事に携わるうちに、冒頭で挙げた心境に至ったのだという。今後はさらにスケールを広げ、商業施設全体のプロデュースも手がけていきたいと語る林氏。実際に、IR(統合型リゾート)に関して進行中の企画もある。

「大規模な商業施設は、どうしても資金力などの要因でテナントが似通ってしまいがちですが、その土地の文化や伝統とコラボするなど、違う見せ方をすることで差別化したい。根幹となるコンセプトが重要なので、それをしっかり決めてコンテンツメイクしていきたいです」

これまでは裏方という意識が強かったため、あまり表に出ることを好まなかった林氏だが、形とともに自分の名が残る仕事をしていくためには、今後は自ら発信していくことも積極的に行っていくという。やりたいこととして温めているアイデアも潤沢にある。

「長年ラグジュアリーなイベントを手掛けてきましたが、日本ではまだ、ラグジュアリーというと高価なものを買うとか贅沢をすることというイメージがあります。しかしラグジュアリーの本質は、自分のためにいかに有意義な時間を過ごせるかということなのです。そうした真のラグジュアリーを体感できる場を提供したいのです」

近年は、日本の子どもの未来についても深く考えているという林氏。これまでの型にはめるような教育ではなく、もっと自由に子どもの想像力を育てられる教育が必要だと感じている。そのためにも、クリエイティビティに特化した”体現、体感、体験“できる場を提供したいという。さらに、アートをもっと身近な存在にするギャラリーのプロデュースなど、林氏の構想は無限大だ。パーティの場から大きくフィールドを広げることで、今後はより多くの人々をワクワクさせてくれるに違いない。

林 譲

株式会社エグゼクインターナショナル 代表取締役
http://www.exec-intl.com
※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。