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浜野徹也
HAMANO TETSUYA

浜野徹也

浜野胃腸科外科医院 副院長

若い世代の大腸がん検診普及を促し、
家族が幸せに生きる社会実現を目指す。
厚生労働省の「人口動態統計(確定数)」(2023年)によると、死亡の原因でもっとも多いのは悪性新生物(がん)で、なかでも大腸がんの罹患率は男女ともに右肩上がりで増えている。大腸がん検診の対象とならない若い世代の受診率向上のため、浜野胃腸科外科医院副院長の浜野徹也氏は普及啓発に励む。
浜野徹也
画像はイメージです。
検診受診率の向上を目指して

厚生労働省が推奨する大腸がん検診の対象年齢は40歳以上。加入する健康保険組合にもよるが、39歳以下なら未受診の人が多いだろう。大腸がんは進行すると血便や体重減少などの症状が現れるが、初期には自覚症状がほとんど見られない。

浜野氏は、「20〜30代でも大腸がんに罹患するリスクは少ないながらある。子育て世代が亡くなってしまうことがあれば、子どもの成長にも大きな影を落とす可能性が高くなります」と警鐘を鳴らす。そのため同院では、大腸がん検診受診率の向上と、検診で陽性となった場合の精密検診受診率の向上を目指している。

部位別のがん死亡率を見ると、女性の1位は大腸がんだ(男性は2位)。だが、2022年「国民生活基礎調査」によれば、全国40〜69歳の大腸がん検診の受診率は男性49.1%、女性42.8%と、女性のほうが少し低い。この要因のひとつに、就業率が関係しているのではないかと浜野氏は推察する。

「男性は女性に比べて就業率が高いので、職場で健康診断を受けることが多いと考えられます。いっぽう、女性が専業主婦や非正規雇用で職場の健康診断実施の対象とならない働き方をしている場合、どうしても受診の機会は減るでしょう。少子化が予想を超えて進む日本で、これ以上働き世代が苦境に立たされることがあってはなりません。子育て世代への働きかけとして、保育園等と協力した取り組みが必要だと考えています」

浜野氏は、保育園などを通じて保護者のがん検診を実施する計画を立てているという。

「若い世代を拾い上げるためには、国に頼るだけでなく、まずは自分から動かないと。この活動が少しずつ広がり、大きな波になることを期待しています。さらに、乳がんや子宮がん、卵巣がんといった女性特有のがんを早期発見できる活動も並行して進めたいです」

若年層の利便性を向上させるため、浜野胃腸科外科医院では若手スタッフの採用、ITを活用した予約システムの導入、土日の検査を実施。さらに同院では、がん検診に対する「痛い」「恥ずかしい」といったイメージや、患者が抱える過去のトラウマを払拭するため、眠ったまま検査を受けられる「痛みに配慮した大腸カメラ(大腸内視鏡)検査」を実施している。

鎮静剤を利用するため車での来院は不可だが、東葉高速線八千代緑が丘駅から徒歩1分という便利な立地のため、患者は特に不便を感じることなく、好評を博している。

そもそも浜野氏が、父である浜野頼隆氏が開業した同院で働きはじめたのは、「祖父の代から受け継ぐこの土地を活用したい」との思いからだった。

「東京メトロ東西線と相互直通運転する東葉高速鉄道が開通したのは1996年。それ以前は本当に田舎で、近くには牧場がありました。今は再開発により大型商業施設ができるなど、八千代市の中でベッドタウンとしてファミリー層に人気の地域になっています。この土地を、自分たち家族に限らず、他の方々にも利用してもらえるような形にして、より地域の活性化に寄与できる場所にしていけたらと思っています」

浜野徹也
医療業界に新しい風穴を開ける

将来的に他診療科や検診センター、保育や高齢者の福祉施設などを併設し、それらが連携することで地域の健康を保持していくのが浜野氏の夢だ。

「検診センターで異常が見つかった場合、患者さんが自主的に次のアクションを起こさなければ医療につながらないことは問題であると考えます。我々が母体となる検診センターを立ち上げることで、どこの医療機関にお送りするかを含め、最後まで責任をもつことが可能になります。また保育施設は、子育て中の患者さんはもちろん、スタッフが働きやすい環境をつくるためにも必要なもの。さまざまな方面の方々とのご縁をいただき、現在は前向きに話を進めているところです」

2015年から抱いてきた構想が、ようやく進み出したと浜野氏は語る。
「とはいえ、思い描くだけなら誰でもできますから、まだまだ道半ばです。何より重要なのは行動すること。医療現場は閉鎖的になりがちなので、外から新しい風を入れたり、積極的に他業種の人たちと関わりをもったりすることで、道が開けてきた感覚はありますね」

浜野氏自身、一時は医師の道を諦めかけ、遠回りをして医学の道に入った。そんな彼のもとには、元カメラマンや元システムエンジニアなど、異色の経歴をもつ医療スタッフが集まる。これまでにない視点からさまざまな意見が交わされることで、大きなムーブメントが起きることを期待しているという。

医療業界に新しい風穴を開け、子育て世代が安心して地域に住み続けられる交流拠点の形成へ。大いなる夢の実現に向けて、浜野氏は歩み続ける。

浜野徹也

浜野胃腸科外科医院 副院長
https://hamanoclinic.com/
※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。