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藤井要
FUJII KANAME

藤井要

株式会社P・C・Gテクニカ 代表取締役社長

パイプの中にパイプをつくる特許技術で、
集合住宅における給排水管更生工事を牽引。
日々の生活に欠かせないライフラインのひとつである給排水管。老朽化に伴って行われる修繕工事では、ライニング工法という技術が浸透している。株式会社P・C・Gテクニカはそのパイオニアであり、競合会社の追随を許さないほどの技術力を誇る。代表取締役社長の藤井要氏は、「排水管の更生工事では当社の技術が60%以上のシェアを占めています」と話す。
藤井要
画像はイメージです。
FRPライニング工法の開発

給排水管の修繕工事には、更新工事と更生工事の2つがあり、前者は管自体を新しいものに取り替える工事を指す。後者はライニングとも呼ばれ、管の内側をコーティング剤で覆う塗布ライニングと、管の内側に樹脂を流して新たな管を形成する樹脂ライニングに分かれる。塗布ライニングは手軽だが、劣化による穴の修復や管の補強はできず、寿命が短いなどの欠点がある。

「排水管の内側に樹脂を染み込ませたライナーを入れて、パイプの中に新しいパイプをつくる『FRPライニング工法』を最初に開発したのが当社です。大掛かりになる更新工事よりも工期が短く、騒音も少ないうえ、最長40年間の使用に耐えることができます。居住者様の立ち会いが必要になる更新工事に対して、入室するのは1階と最上階のみなので、主にマンションの修繕工事の際に採用いただいています」

具体的な施工方法は、1階と最上階の部屋の内装を解体して管を切断し、内部を高圧洗浄などでクリーニング。サンドブラストで研磨した後、樹脂を染み込ませた繊維(ライナー)を挿入し、空気圧の力で内部に樹脂を張り付けていく。その後、管の中に入れたロボットが各階の枝管分岐部で穴を開ける、というものだ。この技術は特許を取得しており、ほかにも複雑な構造をもつ集合継手におけるライニング技術をはじめ、十数件の特許や実用新案を取得している。

「当社は名古屋に本社を構え、東京に首都圏本部を、関西に阪神営業所を設けています。営業エリアは三大都市圏で、それ以外の地域では30社以上の施工代理店と提携しています。代理店制にしているのは、水回りの工事はアフターケアも重要で、地元の会社だとお客様に安心していただけるから。現在も全国各地から技術習得のための研修に来てもらっており、今後も増えていく予定です」

同社の設立は1964年。当時、両親はエステサロンを営んでおり、使っていた石膏を流していた排水管がよく詰まっていた。都度、業者がすぐに対応してくれることに感心し、このサービスを自分たちでやってみようと思ったことがきっかけだったという。その後、給水管の塗布ライニングの工法を開発したものの、参入する同業者が後を絶たず、主力事業を空調メンテナンスに移行。藤井氏が入社したのはその頃だった。

「新しくはじめたラッピング広告の事業がうまくいかず、倒産寸前でした。私は会社を残すため、大学卒業後すぐに入社。当時、東京営業所にいた2名の従業員が共に辞めることが決まっており、私が住んでいた家を営業所にしてひとりで再出発することになりました。その後、給水管の塗布ライニングに再度力を入れて業績を回復させ、2001年に排水管のFRPライニング工法を開発しました」

藤井要
人材育成を重視し、会社を飛躍させる

市場の拡大が見込める現在は、ブルーオーシャンともいえる状況だが、課題は人材の採用・育成だという。そのため、施工担当者の技術力に関わらず同じ品質の工事ができる設備や機材の開発を、メーカーと共に行うことにも取り組みはじめている。新卒採用では藤井氏自身も会社説明や面接を行い、幹部候補生を採用。中途採用では建設業界経験者を対象に、施工管理者などの即戦力になる人材確保に力を入れる。

「市場が伸びているため、飛び込み営業の必要もなく、提案次第で受注が決まります。そこに魅力を感じ、入社してくれる人は増えています。しかし、内装などの付帯工事をお願いしている協力会社における職人の育成も深刻です。当社で採用・育成、あるいはM&Aで協力会社を買収するなど、さまざまな対策を検討しています。また、新たに提携した施工代理店を早く戦力化するためにも、当社の従業員を派遣して技術の継承を迅速に行うこともはじめました」

売上は順調に推移しているが、最近のマンションでは最初から内側を樹脂でコーティングされている管が使われており、長期的な視野に立つと先行きは不透明ともいえる。そのいっぽう、住戸をリフォームしてほしいという相談が数多く寄せられるようになった。居住者にとっては、マンションの管理組合や管理会社の信頼を得ていることが安心材料となり、給排水管の修繕工事の際にリフォームを行えば、周囲に迷惑をかけることも少ない。こうした商機をうまく生かすことができれば、会社を飛躍させるきっかけになるだろう。

「今期の売上は30億円を超える見込みで、5年以内に50億円を目指します。さらに、年内には100億宣言を行う予定です。人材育成を重視するなか、採用活動に携わって感じるのは、経営者が本気になれば若い人たちの採用は決して難しいことではないということ。それぞれの会社が成長することで、建設業界全体の活性化につながってほしいと願っています」

藤井要

株式会社P・C・Gテクニカ 代表取締役社長
https://www.pcgtexas.co.jp/
※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。