
バンドマンから電気工事業の世界へ。
職人としての腕はもちろん、持ち前のガッツや周囲の人々を惹きつけるパワーも相まって、次第に頼られる存在になっていく。幾つかの電気工事会社から声を掛けられ、4社で様々な現場や顧客対応を経験した後、27歳で一人親方として独立。その後、2013年に株式会社K-denを立ち上げた。
「もともと会社を設立して大きくしようという気持ちをもっていたわけではありませんが、一人親方として請け負った工務店の仕事が不払いとなり、現場を手伝ってくれた人たちへの支払いなどで大きな負債を背負ってしまったのです」
この経験で客筋の大切さを痛感し、大手志向への転換を決意。江頭氏にとって、その第一歩が会社を設立することだった。とはいえ、何のつてもない一介の職人が、大手電気工事会社と契約を結ぶことは容易ではない。
「当時は、周囲に大手志向の話をすると、鼻で笑われることもしばしば。ですが、私自身は絶対にできるはずだと信じていましたし、そのときのために準備をしようと。前職での経験もあり、大手が下請けに何を望むのか大体は分かっていたので、まずは協力業者さんなど“人集め”をスタートさせたのです」
ときには自分自身の儲けを度外視しながら仕事を回し、信頼できる仲間をひとりずつ増やしていった。そうした仲間が20人になったとき、江頭氏に大きなチャンスが訪れる。
「ある大手電気工事会社が、人が足りなくて困っているというのです。自分たちの現場も目一杯だったのですが、もちろん断る選択肢はありませんでした。その仕事を機に信頼関係が深まり、現場に10人、20人と職人を送り込めるようになって、大手との契約に辿り着いたのです」
さらに強みとなったのが、施工管理技士の存在だ。各現場で必ず必要になる施工管理技士は国家資格の所有者であり、ある程度の規模の会社でなければ抱え込むことが難しい。
「ある時、施工管理技士も用意できるかと聞かれて、『もちろんです』と即答。実は、その時には顔見知り程度の知り合いがいただけなのですが、その人に頼み込んで手伝ってもらいました。そこから施工管理の大切さに気づき、社内外で資格保有者を増やす取り組みを行ってきました。その結果、現在は社内だけで10名の施工管理技士を抱えるまでになっています」