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江頭慶彦
EGASHIRA YOSHIHIKO

江頭慶彦

実紀コスミオン株式会社 代表取締役

電気工事からオフィス建設まで、
技術と人間力で“世界平和”の実現を目指す。
電気工事業からスタートし、設立から9年目で約50名の社員を抱える総合建設業者へと発展を遂げた実紀コスミオン株式会社。同社を率いるのが、「事業を通じて世界平和を目指す」と公言する江頭慶彦代表取締役だ。ミュージシャンを目指して高校を中退し、音楽の専門学校への進学を決意するも、父の家出によってその道を断念。当時、兄が経営していた電気工事会社の仕事を手伝い、「障碍者だった母や姉を養うため、仕事に打ち込みました」と江頭氏は話す。
江頭慶彦
画像はイメージです。
バンドマンから電気工事業の世界へ。

職人としての腕はもちろん、持ち前のガッツや周囲の人々を惹きつけるパワーも相まって、次第に頼られる存在になっていく。幾つかの電気工事会社から声を掛けられ、4社で様々な現場や顧客対応を経験した後、27歳で一人親方として独立。その後、2013年に株式会社K-denを立ち上げた。

「もともと会社を設立して大きくしようという気持ちをもっていたわけではありませんが、一人親方として請け負った工務店の仕事が不払いとなり、現場を手伝ってくれた人たちへの支払いなどで大きな負債を背負ってしまったのです」
この経験で客筋の大切さを痛感し、大手志向への転換を決意。江頭氏にとって、その第一歩が会社を設立することだった。とはいえ、何のつてもない一介の職人が、大手電気工事会社と契約を結ぶことは容易ではない。

「当時は、周囲に大手志向の話をすると、鼻で笑われることもしばしば。ですが、私自身は絶対にできるはずだと信じていましたし、そのときのために準備をしようと。前職での経験もあり、大手が下請けに何を望むのか大体は分かっていたので、まずは協力業者さんなど“人集め”をスタートさせたのです」
ときには自分自身の儲けを度外視しながら仕事を回し、信頼できる仲間をひとりずつ増やしていった。そうした仲間が20人になったとき、江頭氏に大きなチャンスが訪れる。

「ある大手電気工事会社が、人が足りなくて困っているというのです。自分たちの現場も目一杯だったのですが、もちろん断る選択肢はありませんでした。その仕事を機に信頼関係が深まり、現場に10人、20人と職人を送り込めるようになって、大手との契約に辿り着いたのです」

さらに強みとなったのが、施工管理技士の存在だ。各現場で必ず必要になる施工管理技士は国家資格の所有者であり、ある程度の規模の会社でなければ抱え込むことが難しい。

「ある時、施工管理技士も用意できるかと聞かれて、『もちろんです』と即答。実は、その時には顔見知り程度の知り合いがいただけなのですが、その人に頼み込んで手伝ってもらいました。そこから施工管理の大切さに気づき、社内外で資格保有者を増やす取り組みを行ってきました。その結果、現在は社内だけで10名の施工管理技士を抱えるまでになっています」

江頭慶彦
成長の原動力となる確固たる姿勢と信念

大手電気工事会社の下請けとして業績を伸ばし、マンションをはじめ工場や各種プラント、サーバーセンターまで、大規模かつ幅広い案件の電気工事も担ってきた。19年には、現在の実紀コスミオン株式会社に社名を変更。21年には特定建設業許可も取得し、元請け仕事もできる総合建設業者へと事業領域を拡大した。

「お客様の発展を支えられる下請け仕事は、これからも大切にしていきます。そうした現場での学びを活かしつつ、当社独自の職人や社員教育、細かなマニュアル作成などによって人員の強化を図り、元請け工事も増やしていきたい。すでに1億円規模の倉庫やオフィスなどは自社で請け負っていますので、今後はさらに大規模な案件も手掛けていきたいと考えています」

さらに、海外ブランド家具を輸入・販売する富士家具工業や、国内外で活躍するデザイナーの田中敬久氏をパートナーに、高級マンションのリフォームや新築建設を行うなど、富裕層に向けたプロジェクトも始動。大阪の化学メーカーである新日本理化から提案を受けて、特殊な抗菌コーティングの施工も事業化している。このように江頭氏が止まることなく走り続けるのは、「世界平和の実現」という、会社として掲げる目標があるからだ。

「我々のような職人の世界はもちろん、どんな仕事にも技術が必要だと思います。そうした技術を身につけることと、人間として成長することの両方を大切にしつつ、事業を通じて良い人材を育てていけば、やがてそれが社会で生まれる価値につながっていく。そうした良い人材が増えれば、世の中が平和になると僕は本気で信じています」

社内でダイバーシティプロジェクトを掲げ、大阪市から「女性活躍カンパニー」の認定も受けるほど、会社では女性社員の活躍も目立つ。さらには海外の若手技術者も積極的に受け入れており、今年はエジプトとベトナムから仲間が加わる予定だ。

「彼らを通じて日本の建築技術が世界に伝わり、その国の発展の一助になれば嬉しいですし、将来的にはまだインフラの整っていない国で技術的な貢献を行いたいと思っています。人は自分のためだとそんなに頑張れないけれど、誰かのためだと頑張れる。これからもお客様や仲間である社員のために、挑戦し続けたいと思っています」

江頭慶彦

実紀コスミオン株式会社 代表取締役
https://www.mikicosmion.com/
※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。