Powered by Newsweek logo

坂野志起
BANNO SHIKI

坂野志起

りくらぼ株式会社 代表取締役

どの転職エージェントに相談しても、平等に求人を選べる社会を実現
エージェントの質が転職の成功を左右してしまう業界に風穴を開けるため、2023年6月に人材紹介会社を創業。自身の経験を生かし、最新のデジタルツールを活用して求職者が本当に納得する転職活動をサポートする。
坂野志起
画像はイメージです。
キャリアアドバイザー年間成績1位に輝き独立

「人生で初めて転職活動をしたとき、求人は何を見たらいいかわからないし、漠然とした不安がずっとありました。ほかの人が転職するときに同じ気持ちになってほしくないという思いから起業を決意。本来は新しいスタートである転職活動をワクワクして取り組めるように、精一杯サポートできたらと考えています」


そう穏やかに話し始めたのは、人材紹介サービスを展開するりくらぼ株式会社代表取締役・坂野志起氏。16歳で一人暮らしを始めた坂野氏はアルバイトで生活費を稼ぎながら高校を卒業して、人材派遣業界に入社。4年間勤務した後人材紹介会社へ転職し、1年間でキャリアアドバイザーとして年間成績1位を獲得した。優秀な成績を収めた秘訣を、「誰よりも営業っぽくなかったから」と自己分析する。

「転職エージェントが自分の売り上げばかり追っていたら、相談に来た人は嫌な気持ちになると思います。僕は『この求人はやめときましょう』みたいなこともたくさん言っていましたし、仕事が決まったらさよなら、ではなくて、そのあとも連絡を取り合う人が何人もいました。信頼関係をしっかりつくれたことがこの結果に繋がったのかもしれません」

じっくり築いた信頼関係が思わぬ縁につながったこともある。2024年3月に入社した新入社員は、もともと坂野氏が担当していた求職者。坂野氏とは3年程連絡を取り合う仲で、会社を立ち上げた話をしたところ、「今の会社を辞めて入社したい」と直訴してきたそうだ。「とても嬉しかったですね」と坂野氏。心強い新メンバーを得たりくらぼ株式会社は、新しいサービスを続々展開していく。

その一つが転職支援プラットフォームの開発である。人材紹介は、企業の採用要件に合った転職希望者を紹介する成功報酬型のサービス。転職エージェントは企業と求職者の間に入り、効率のよい採用・求職活動をサポートする。仲介者がいることにはメリットもあるが、逆に言えば転職エージェントの質が採用を左右してしまう一面がある。

「相談するエージェントが違えば、その人の転職はうまくいったかもしれないのに、むしろ自分の選択肢を狭めてしまうことがよくあります。どのエージェントに相談しても自分の選択肢がしっかり保たれる状態をつくるために、営業から求人、選考まで一貫した管理を行えるデータベースサービス『りくらぼ』を運用。最短で契約当日から2万件の求人紹介を可能にします」

求職者が一度にたくさんの求人を見られるようになるほか、企業側にとってもメリットがある。りくらぼの主なターゲットはスタートアップの人材紹介会社。人材紹介事業は利益率が高い業界と言われており、次々と新しい会社が設立されているものの、大半が苦しむのがクライアント開拓。しかし、「りくらぼ」と契約すればすでに2万件以上の求人が掲載されておりコスト削減につながる。また、採用企業にとっては、特定の人材紹介会社としか契約していないと、そのエージェントの質がよくなかったり、最悪の場合は倒産したりする可能性も。しかし、このプラットフォームと契約すれば、全国のエージェントから問い合わせが来ることになる。

坂野志起
「転職するならりくらぼ」と言われる会社へ

求職者、人材紹介会社、そして採用企業の三者にメリットを提供。エージェントの質を向上する意味では、もちろん社内教育にも力を入れる。「人生の転機に関わる仕事なので、責任を持ってやってほしい。求職者の方は色んな悩みを抱えているので、その道で生きてきた人と同程度の知識を持っていないと、なかなかよいカウンセリングはできません。知識をインプットするため、週ごとの持ち回り制で、ある業界を勉強して、それを皆に発表する場を設けています。社員のプレゼン能力を磨くうえでも効果的です」

もう一つ、りくらぼが新たに始めたサービスが、AI機能を組み込んだ履歴書・職務経歴書作成ツールにより、書類選考通過率の向上を図る「ARM」。自己PRや志望動機の書き方に悩む人は多いが、実は採用側にとってもフォーマットのそれぞれ異なる書類を読み解くのは一苦労。ARMは業界・職種ごとの選考基準にマッチした画一のフォーマットを用意し、誰でも携帯で簡単に書類を作成することができる。

「字の綺麗さが採用に影響すると言われる時代はもう終わり。究極を言えば僕は書類選考は不要だと思っているのですが、本当に人物面で評価してくれるような書類を作ることが重視されています。AIを利用した自己分析ツールの開発にも力を入れており、ユーザーが増えれば増えるほど、受かりやすい志望動機が書けるようになります。将来的にはLINEチャットボットとの連携も考えており、メッセージ画面で AIが履歴書を編集して送ってくれるサービスがあったら便利だと思います」

時代に合わせた柔軟な変化、最先端のDX導入、求職者目線に立ったキャリアカウンセリング。これらを駆使し、目指すのは「転職するならりくらぼ」と呼ばれる企業。特に新しい業界に飛び込む若手の成長を後押しし、自分の強みをより発揮できる職場への就職を支援する。

坂野志起

りくらぼ株式会社 代表取締役
https://web.rec-lab.biz/
※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。