キャリアアドバイザー年間成績1位に輝き独立
「人生で初めて転職活動をしたとき、求人は何を見たらいいかわからないし、漠然とした不安がずっとありました。ほかの人が転職するときに同じ気持ちになってほしくないという思いから起業を決意。本来は新しいスタートである転職活動をワクワクして取り組めるように、精一杯サポートできたらと考えています」
そう穏やかに話し始めたのは、人材紹介サービスを展開するりくらぼ株式会社代表取締役・坂野志起氏。16歳で一人暮らしを始めた坂野氏はアルバイトで生活費を稼ぎながら高校を卒業して、人材派遣業界に入社。4年間勤務した後人材紹介会社へ転職し、1年間でキャリアアドバイザーとして年間成績1位を獲得した。優秀な成績を収めた秘訣を、「誰よりも営業っぽくなかったから」と自己分析する。
「転職エージェントが自分の売り上げばかり追っていたら、相談に来た人は嫌な気持ちになると思います。僕は『この求人はやめときましょう』みたいなこともたくさん言っていましたし、仕事が決まったらさよなら、ではなくて、そのあとも連絡を取り合う人が何人もいました。信頼関係をしっかりつくれたことがこの結果に繋がったのかもしれません」
じっくり築いた信頼関係が思わぬ縁につながったこともある。2024年3月に入社した新入社員は、もともと坂野氏が担当していた求職者。坂野氏とは3年程連絡を取り合う仲で、会社を立ち上げた話をしたところ、「今の会社を辞めて入社したい」と直訴してきたそうだ。「とても嬉しかったですね」と坂野氏。心強い新メンバーを得たりくらぼ株式会社は、新しいサービスを続々展開していく。
その一つが転職支援プラットフォームの開発である。人材紹介は、企業の採用要件に合った転職希望者を紹介する成功報酬型のサービス。転職エージェントは企業と求職者の間に入り、効率のよい採用・求職活動をサポートする。仲介者がいることにはメリットもあるが、逆に言えば転職エージェントの質が採用を左右してしまう一面がある。
「相談するエージェントが違えば、その人の転職はうまくいったかもしれないのに、むしろ自分の選択肢を狭めてしまうことがよくあります。どのエージェントに相談しても自分の選択肢がしっかり保たれる状態をつくるために、営業から求人、選考まで一貫した管理を行えるデータベースサービス『りくらぼ』を運用。最短で契約当日から2万件の求人紹介を可能にします」
求職者が一度にたくさんの求人を見られるようになるほか、企業側にとってもメリットがある。りくらぼの主なターゲットはスタートアップの人材紹介会社。人材紹介事業は利益率が高い業界と言われており、次々と新しい会社が設立されているものの、大半が苦しむのがクライアント開拓。しかし、「りくらぼ」と契約すればすでに2万件以上の求人が掲載されておりコスト削減につながる。また、採用企業にとっては、特定の人材紹介会社としか契約していないと、そのエージェントの質がよくなかったり、最悪の場合は倒産したりする可能性も。しかし、このプラットフォームと契約すれば、全国のエージェントから問い合わせが来ることになる。