Powered by Newsweek logo

清水優也
SHIMIZU YUYA

清水優也

株式会社ノリコーポレーション 代表取締役

業界のイメージを変えるための環境作りに取り組む
人手確保に課題を抱える建設現場に、多様なスキルや経験をもつスタッフを編成して労働提供を行っている株式会社ノリコーポレーション。労働環境に対するマイナスイメージの払拭や労働者の高齢化に取り組むため、会社の体制をひとつひとつ丁寧に見直してきた。働く場所の充実だけではなく、働く者の心の充足を生み出せる環境作りに取り組んできた背景をひもとく。
清水優也
90%が住み込みで働く会社の社員とは

かつての建設業における社員寮は、住み心地が良いとは決していえるものではなかった。
「家のない求職者を集め、1部屋に複数人で寝なければならないような寮生活を強制し、劣悪な環境で労働させるということもひと昔前にはありました。そういった業界のマイナスイメージを払拭するために、まずは寮の環境整備から取り組みました。社会や会社のために汗水垂らして一生懸命働いている人たちに、もっと気持ちよく仕事をしてもらえる環境を作りたい、その一心です」
そう話すのは、代表取締役の清水優也氏である。

同社の社員寮は全室個室で家電付き、Wi-Fi完備、1日3食付きなど、手厚くケアされたものだ。最近では携帯電話を持っていない社員にスマートフォンの貸し出しも始めている。「今では社員の90%が住み込みで働いています。Wi-Fiやスマートフォンの貸し出しを始めてからは若い方も増えてきており、嬉しく感じています」
若手の取り込みに成功したことで、社員の年齢の幅は10代から60代とかなり幅広くなった。しかし、社員寮が個室とはいえ、仕事以外の時間も同じ建物の中で生活をしなければならず、人付き合いの課題も大きなものとなる。人と人のコミュニケーションを活発にするための策として、休日のバーベキューやビンゴ大会など寮でのイベントにも力を入れている。参加を強制しないよう呼びかけに留意しながらも、60%の参加率となっている。社内のコミュニケーションを大切にしている理由は、生活の心地よさの追求だけではない。

「建設現場は危険も多く、すぐに声をかけられる間柄でいることは、身を守るうえでも大事なことです。また、現場スタッフを管理する事務スタッフと現場スタッフとのコミュニケーションも大切にしています。同じ会社の一員として、互いへの感謝の気持ちや、許す気持ちを忘れない社内風土を作ってきました」
住まいと職がない状態で応募してくる人は、それまでに何かしら苦労を経験してきた場合が多く、なかには心を閉ざしてしまっている人もいるという。互いの気持ちを思いやり、無理のない距離感で接することで、信頼関係を築いている。

清水優也
現場で働くスタッフに心の充実が生まれる環境を

「弊社が扱う現場は、そんなに難しいスキルを必要とする現場ではありません。ただし、人によって得意な作業、不得意な作業はあります。チーム編成の際には、本人の希望をなるべく汲むことを重視しています。なかには軽い荷物を運んだり、仕分けをしたりといった仕事もあるので、最近では女性の応募も増えてきました」
社会に出て活躍する女性が増えたとはいえ、なかには家庭の事情などを抱え、止むを得ず仕事と住居を見つけられない女性も増えているそうだ。そんな女性のために、体力に頼らない仕事を切り出し、女性も応募しやすい環境を目指している。

同時に社内環境の整備にも力を入れ、出来るだけ長く腰を据えて働く人材を増やす取り組みも行っている。
「働き方は様々ですが、やはり短期間で働く方が多いのも特徴。しかし、短期雇用では社会保険にも入れません。安定した暮らしを得ていただくために長期雇用のメリットを伝えるなど促進を始めました。今では50%の人が加入をしています。そのほかにも、有給休暇の積極的な利用や、スポーツジムの割引、通勤車両の貸し出しなど、福利厚生の充実も図っています」

社内の仕組みが整った今、新たな取り組みとして考えているのが、スタッフのキャリア形成だ。現在は、初心者でも働きやすい環境を作ることに重きを置いているため、請け負っている仕事の多くは軽作業など簡単なものが多い。そのため、より高度な技術を身につけることを目指したい者は、他社へ転職するしか術がないというケースも起きている。
「建設現場において職人になるというのは、何か特別な資格があるわけではなく、どういう作業をやってきたかが職人技として自身の評価となる。要は会社がどういう現場をスタッフに用意できるかが、スタッフの将来のビジョンに大きく関わるのです。今後は、高度な技術を身につけて職人としてキャリアを積んでいきたい人が成長できるような現場も、会社として取り入れていきたいと考えています」

業界のなかでいえば、同社は下請けの組織である。しかし、下請けだからこそできることも必ずあると清水氏は語る。
「僕らと一緒に仕事をしていれば、安全に、そして安定的に仕事ができるよ、ということを伝えたい。働く場所、住む場所だけではなく、心の充実というものが生み出される環境を作りたい」
建設現場というフィールドで働く人たちの暮らし、生き方を長年見つめてきた清水氏だからこそ見える、新しい働き方の未来がある。

清水優也

株式会社ノリコーポレーション 代表取締役
http://noricorporation.com/
※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。