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越川健治
KOSHIKAWA KENJI

越川健治

株式会社土地活用 代表取締役社長

情報化社会で注目される
業界の透明化を促す建設マネジメント方式
ビルやマンションを建設する際に、独自ルートから下請専門工事会社に直接見積交渉を行い、ゼネコンに専門工事会社を紹介するコンストラクション・マネジメント。なかでも「ゼネコン活用型サービス」を提供する株式会社土地活用は、建設費の適正価格化で10-18%ものコストダウンが可能だという。
越川健治
建設費用の検討・管理・適正化を行うマネジメント業務

新築や建て替えに関わらず、ビルの施工において大きな課題になるのが建設費の削減だ。日本国内でマンション経営などを検討する際、建設会社に発注する方法は長らく「設計施工方式」か「設計事務所主導による相見積方式」の2種類だった。こうした旧来の方法は、営業管理費がかさんだり、コストが不透明になるデメリットもみられた。このような課題に対して建設業の専門家ではない施主が不利益を被るのを避けるため、近年、第三の発注方法として注目が高まるのがコンストラクション・マネジメント(CM)方式だ。
国土交通省の『CM方式活用ガイドライン』によれば、CMとは、“発注者の利益を確保するため、発注者の下でコンストラクションマネージャー(CMR)が、設計・発注・施工の各段階において、設計の検討や、工程管理、品質管理、コスト管理などの各種のマネジメント業務の全部または一部を行うもの”とある。

株式会社土地活用は、2009年からCMサービスを主に取り扱い、堅調に業績を伸ばしている。代表の越川健治氏は「CMは米国では1940年代から広く用いられている建設生産・管理システムのひとつです。ごく分かりやすく例えると、建設費の適正化を行うレフェリーのような仕事です」と解説する。越川氏は大学の建築学科在学中から、建築コストのマネジメントに興味を抱いていたと語る。
「大学院で国土交通省の建築研究所の研究者と関わる機会があり、そこで初めてコンストラクション・マネジメントを知りました。当初は米国で大規模・複雑なプロジェクトを管理する方式として認識していましたが、建設に関わる費用の透明化という点で強く興味を感じ、その後今に至るまでの考え方に大きな影響を受けました」

越川氏はゼネコンでの現場監督やCM方式での発注業務経験を経て、マンション・デベロッパーで開発業に従事。リーマンショックの影響を受けながら不動産業界の現場を経験して、改めて「建設業界に詳しくない事業主にとって、ためになる仕事がしたい。CMを広める仕事に戻ろう」と決意したという。同社が提供するのは、独自ルートから下請専門工事会社に直接見積交渉を行い、元請総合建設会社(ゼネコン)に専門工事会社を紹介する「ゼネコン活用型CM」だ。越川氏は「建設に関わるコストについては、詳細の説明責任がないこともあり、情報を閉じて顧客に伝えない習慣が根付いていました。施工会社はゼネコンと下請専門工事会社の2種に大別されますが、当社のCMサービスはこの双方に統一図面・数量での見積を取ります。費用明細をガラス張りにすることで適正価格が明らかになり、10-18%の工事費の圧縮が見込めます」と語る。

越川健治
コストの詳細を明らかにし、建設業の流動性を高める

建設工事費の圧縮は施主にとって大きなメリットとなる一方、CM サービスの導入は施工会社にとっても有用だ。ビルなどの建設費用の内訳は、一般的に総額の15〜20%程度が、総合仮設費用、現場経費、一般管理費の「管理運営系費用」であり、ゼネコンが会社や現場を経営・運営する費用にあたる。残りの80~85%程度は、下請専門工事会社へ支払う「外注費用」に大きく分類される。
外注先である各種の下請専門工事会社は、ほとんどのゼネコンがもつ下請協力会のいずれかに加入しており、ゼネコンは下請協力会加入業者を中心に見積を依頼する。現状は下請協力会に入るゼネコンからの受注元を絞っている下請専門工事会社がほとんどだという。ところがリーマンショック以降、協力会の元請ゼネコンの倒産により受注先そのものが減少したり、経営を元請ゼネコンの受注に左右されたり、といった下請協力会頼りによるデメリットも顕在化しつつある。そのため「安く優良な専門工事会社が経営危機に晒されるのを避け、新規取引先を開拓し、自力で売上を確保したりリスクを分散しようという気運が高まっている」と越川氏は解説する。
またゼネコン側も、建設費の8割を占める外注費用の発注管理は重要な役割だ。自社の協力会の弱点を克服し、能力を高めるため、下請取引先の組み替えを希望する企業も多いという。
「建設業でも構造改革・業界再編の動きが起こりつつあります。新規開拓――つまり下請協力会の新陳代謝を進めるためにも、ゼネコン活用型のCMサービスは、元請ゼネコンと下請専門工事会社の双方に活用されつつあります」

ネットで情報が拡散される現代、不当な取引や手抜き工事などはあっという間に世間の知るところとなる。そのうえで、越川氏は「オーナーのことを第一に考える会社しか生き残りは許されない」と強い意志を見せる。情報発信に注力するため、自社のWEBサイトには一般の建築主が知ることができなかった情報について解説記事を掲載し、徹底して知識と情報の開示・共有を行っている。また、毎月セミナーを開催し、好評を博しているという。
「私たちの情報発信の努力と、建築事業主側の情報収集能力の向上によって、これまでのように、地主の自宅に足繁く通って、知識のない受け身の方から必要以上に高額な建設費で受注をするようなスタイルは成り立たなくなる。流れが完全に変わる瞬間が必ず来ると考えています」
今後はCMによる建設費圧縮の主業務を中心に事業を拡大したいと語る一方で、越川氏は「独立したての若い設計事務所を無料で支援したい」と笑顔を見せる。「事業は取引先への愛情ベースで継続的な関わりと建築主の収益性を高めることが命」という実直な姿勢に、建設業を変えたいという強い思いが現れている。

越川健治

株式会社土地活用 代表取締役社長
https://kabu-tochikatsuyo.com/
※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。