施設運営で培った知見を、設備開発とコンサルに活用
コロナ禍で再注目された、安く、近場で、短期間を意味する「安・近・短」のレジャー。その代表格といえば、スーパー銭湯を筆頭とした温浴施設だろう。株式会社ミズプラは、主に温浴施設やプールにおけるろ過設備の製造を手がける。代表取締役社長の柴田考氏は、「日本人の生活に欠かせないお風呂の魅力を、常に身近に感じてもらうことが私たちの使命です」と話す。
水処理設備のメーカーとして、愛知県春日井市に本社を構え、50人超の従業員を擁する同社。国内外のスーパー銭湯や日帰り温浴施設への納入実績は数百件に上り、循環ろ過装置の分野で国内トップクラスのシェアをもつという。ろ過設備だけでなく、炭酸風呂や美泡風呂といった特徴的なお風呂を生み出す装置の開発や製造を行っているのも特徴だ。
「設計から製造、施工、メンテナンスまで一貫して対応できるのが最大の強み。商品は既製品ではなく、お客様の要望に応じて製造します。何かトラブルが起きればすぐに駆けつけなければいけない場合もあり、小回りの利く対応が求められるため、大手企業が参入しにくいのがこの業界の特徴です」
顧客は温浴施設だけでなく、ホテルやスポーツクラブ、ゴルフ場、高齢者施設、遊園地など、多岐にわたる。さらなる強みが、オーナーとして「豊田挙母温泉 おいでんの湯」(豊田市)と「SPA専 太平のゆ」(神戸市)という2つのスーパー銭湯を運営していることだ。BtoC事業への挑戦が、製造業の未来を切り開くロールモデルとして注目を集めている。
「父が、新たな事業として始めたものです。運営する中で、設計や製品、施策を試し、お客様に喜んでいただけるノウハウを蓄積していきました。この経験を生かして、私が代を継いだ2018年頃から始めたのが、顧客へのコンサルティング事業です。老朽化した設備の改修やリニューアルも含め、トータルでプロデュースできることが大きく飛躍できた要因です」
柴田氏の父が、勤めていたろ過設備のメーカーを辞めて起業したのは1989年のこと。バブル景気が高まる中、健康ランドやレジャープールの人気に可能性を見出したことが背景にあった。その後、柴田氏が入社した頃にスーパー銭湯の第1次ブームが起き、当時7人しかいなかった従業員は施工のために全国を飛び回った。新しいレジャーとして定着した後、その人気は中国にも飛び火し、2012年に現地法人を上海に設立。柴田氏自身も日本と中国を行き来しながら、30施設以上のスーパー銭湯の仕事に携わった。
「父の例が示すように、この業界は独立して起業するケースが多く、名古屋だけでも何百社もの同業者がいます。経営上のリスクが比較的低い学校プールの分野を中心に展開する会社も多いですが、当社は顧客のこだわりに耳を傾け、正月休みも返上するなどして、スーパー銭湯の分野に力を入れてきました。そうした経験を積み重ねた結果、大きな発展につながったのではないかと自負しています」