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小栗成男
OGURI SHIGEO

小栗成男

NTP-HOLDINGS TOYOTA Rental&Leasing NAGOYA Corp. CEO.

業界トップから世界的なブランドへ
企業経営者の枠を超えた壮大な挑戦
世界最大級の自動車販売を中心に、いまや17社からなるグループへと成長したNTPホールディングス。そのオーナーファミリーの一人としてグループの経営を支えるのが、国内外でその名を知られる小栗成男氏だ。経営者でありベストセラー作家、そしてオペラ歌手としては由緒あるカーネギーホールの舞台にも立つ。まさに異端の経営者に、その創造的挑戦の源泉について聞いた。
小栗成男
コロナの影響を最小限に抑える盤石の基盤

世界最大級の自動車販売会社を中心とするNTPグループ、NTPホールディングスのオーナーファミリーであり、現在はネッツトヨタ名古屋やトヨタレンタリース名古屋といった各社の社長を兼務する小栗成男氏。

若手時代には年間で約180台を販売するカリスマディーラーとして知られ、30代半ばで渡米した2000年には、全米自動車販売店協会(NADA・National Automobile Dealers Association)が主宰するアカデミーにおいて、日本人としてはただ一人2つのプログラムを修了。

2010年に設立されたNTPホールディングスの「Nice To People(人々に素敵を届ける)」というコーポレートメッセージやブランドロゴなどには、そんなグローバルな視座をもつ小栗氏の「世界に通用する企業でありブランドを目指す」という想いが込められている。

NTPグループの歴史は1956年に小栗氏の祖父からスタートした名豊自動車(現在の名古屋トヨペット)に始まる。現在は不動産からIT、マリンスポーツなどのレジャー関連まで幅広い事業を展開するが、もちろんその中核にあるのは自動車販売やレンタカー・リースだ。昨今はコロナ禍で多くの産業がダメージを受けるが、当然ながら自動車業界も例外ではない。

「業界全体では前年比で2〜3割ほど売上が落ちているという話もあります。とはいえ、クルマには整備が必要ですし、車検や一年点検、保険の更新などお客様との接点がなくなるわけではない。とりわけお客様と携帯電話などで密なコミュニケーションを取るNTPの営業スタイルはコロナの影響もあまり受けませんし、今年の5月からは全国のトヨタ販売店でトヨタ車全モデルが取り扱えるようになる全車併売がスタートしたことで、より多くのお客様のニーズを満たすことができるようになりました」

2014年には地場資本の販売会社として、日本で初めて新車累計販売台数200万台を突破するなど、常に業界のトップを走り続ける。

そんなグループの各店舗では、約10年前から来店客の少ない時間帯のショールームや会議室を無償で地域の人々に貸し出す「まちイチ活動」を実施。カーディーラーの枠を超えた取り組みによって、顧客や地域の人々により大きな価値を提供することにも成功している。

小栗成男
経営者の理念や行動がそのまま他社との違いとなる

「リーディングカンパニーとして業界を牽引することも当グループのミッション。だからこそ創造、挑戦、貢献という理念をもち、他社がやっていないことにも積極的にチャレンジしていきたい。そして何よりもNTPブランドを世界に広めるために、経営者である私自身が広報役として、先頭に立ってブランドイメージを高める役割を果たしていきたいと考えています」

2013年には自らの経営哲学などを書いた『オグリズム』がベストセラーになり、その後も現在までに6冊の著書を出版。さらにはクールジャパン活動の一環として日本酒を世界に広める“酒サムライ”としての活動や、名古屋市教育委員会などでの活動を通じた教育へのコミット、ミス・ユニバース・ミスジャパンでは特別講師も務めるなど、まさに小栗氏自らがグループの経営理念である「創造」「挑戦」「貢献」を体現する。

2019年2月には、世界的に有名かつ格式の高いコンサートホールであるニューヨークのカーネギーホールの舞台に、オペラ歌手「世歌勳(SEKAI)」として立ち、その歌声で多くのオーディエンスを魅了。50歳を超えて本格的にオペラを学び始めて約6年、音楽のプロたちが「不可能」と口を揃えた挑戦を可能にしたのは、小栗氏の声楽家としての素質に加え、圧倒的に前向きな情熱だった。
「そもそも私が声楽に興味をもっていたのは、知り合いの世界的な指揮者の方に声を褒められたことがきっかけ。一方で学生時代から『一言で1万人の心を動かせるような人間になりたい』という想いをもっていて、全世界の人が聴くオペラならそれが実現できるかもしれないと考えたのです。だから趣味でやっても仕方がない。やるからにはプロとして、それこそ世界の4大テノールを目指すくらいの気持ちでやろうと。さまざまな音楽家の方々に師事し、本業と両立させながら、まさに秒刻みのスケジュールでレッスンに励みました」

小栗氏が自ら名付けた「世歌勳」という名には、「世界の人々に歌で貢献する」といった意味が込められている。

「たとえば、もしいま死にたいと思っている人がいるならば、その人たちに歌を届け『明日も頑張ろう』という気持ちになってもらいたい。歌を歌うことで、少しでも多くの人たちを元気づけることが、歌の世界での私の役割だと考えています」

自身は57歳になったが、「まだまだ人生、二花も三花も咲かせたいと思っています」と笑う。

「一つは私が卒業した同志社大学の創立者である新島襄の映画をつくりたい。そしてもう一つは、ニューヨークやパリ、シンガポール、メルボルン、そして東京や名古屋で学校(CEOアカデミー)をつくり、グローバルに活躍できる優秀な経営者を育てたいとも考えています」

そんな小栗氏の壮大な構想の背景には、「日本発のデファクトスタンダードを世界に広めたい」という想いがある。

「東日本大震災では被災地のマナーが世界で絶賛され、現在のコロナ禍では屋内で靴を脱ぐ日本の文化が欧米などで見直されつつあります。他にも、欧米ではコロナで握手をする機会が減っていますが、日本にはそれに替わるような、相手に敬意を示すお辞儀などの文化がある。若いビジネスパーソンへの教育を通じて、そうした日本の素晴らしい文化も世界に発信していきたいと考えています。
『武士道』などの著書を通じてルーズベルトやジョン・F・ケネディに大きな影響を与えた新渡戸稲造のように、行動やメッセージを通じて後世の世界の人々に影響を与えるような人間でありたい。最後に自分自身の人生を振り返ったときに、そんな人生だったと思えるように。まだまだ色々なことに挑戦していきたいですね」

小栗成男

NTP-HOLDINGS TOYOTA Rental&Leasing NAGOYA Corp. CEO.
https://www.ntpgroup.jp/
※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。