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中田正樹
NAKATA MASAKI

中田正樹

株式会社トリオ 代表取締役

環境管理の価値を伝えながら、
業界全体のイメージ向上を図る。
人材不足に悩む環境管理事業。エンジニア派遣を通じてクライアント、ひいては社会に貢献する株式会社トリオ代表取締役の中田正樹氏に、問題解決に向けて取り組んでいることを語ってもらった。
中田正樹
効率向上を追求する、ゴールのない仕事

焼却リサイクル施設や汚水処理施設、浄水処理施設といった公共及び民間の環境プラント施設は、慢性的な人材不足や高齢化に悩まされており、プラントの運営会社やプラントメーカーだけでは作業員を確保することができない。そうした背景のなか、株式会社トリオは1994年に創業した。

「先代社長である父は元々プラントメーカーに勤めていて、状況をよく知っていました。そこで環境プラントのエンジニア専門の人材派遣にビジネスチャンスがあると見込んで起業したわけです。私が高校3年生のときでした」と語る、代表取締役の中田正樹氏。
「当時の私は、勉強はしたくない、かといって就職活動もしたくないというありさま。父に立ち上げる会社に入らないかと言われた時は『これでどっちもせずにすんでラッキー』という感じでした(笑)」
しかし高校卒業後、実際に派遣エンジニアとして現場で働き始めると、その仕事の面白さに目覚め、どんどんのめり込んでいった。

焼却リサイクル施設は、ただゴミを燃やしていればよいというものではない。焼却効率を上げること、つまりいかに低燃費でより多くのゴミを焼却し、発電するかを常に追求していかなければならない。「特に民間の焼却施設は利益を追求するために焼却効率にこだわりますが、一般の家庭ゴミと違って焼却時に発生するカロリー(発熱量)が高く、炉が傷みやすいので難しい。燃焼温度を上げすぎると溶けてガラス状になった灰が炉に付着してしまいますし、反対に温度が下がりすぎると不完全燃焼になってCO2などが増えてしまう。ハード面は簡単には変えられないので、運転方法などの調整によって、いかにその処理施設の定格の処理量に近づけるか。それを解決するにはさまざまな知識と経験が必要です。ものづくりと違って完成というゴールのない仕事ですが、突き詰めるとどこまでも突き詰めていける。そこにやりがいを感じました」

施設では正社員と派遣社員の混成チームが組まれるが、現場では所属長の下で互いの垣根なく働く。中田氏は効率アップのためのさまざまな提案を所属長に行った。
「代表取締役に就任するまでに4つの現場を経験しましたが、いずれも若造の私の言葉に耳を傾けてくれ、いろいろやらせてくれました。効果が出るにつれて信頼が得られ、自信がついていく。この経験は今にも生きています」

中田正樹
世界の問題点に対峙しているという付加価値をつける

父が病に倒れたことを機に、40歳で跡を継いだ中田氏。現場とは違った意味で考えなければならないことは多いが、そこに新たなやりがいを感じていると言う。「現場で働く人の気持ちはよくわかるので、つい甘えを許してしまいがちなのですが、経営者としてはそうもいかない。働き手のマインドと経営者の視点の折り合いをつけて組織作りに活かしたい。そのアイデアを考えることはおもしろいですね」と語る中田氏。

入社時に18人だった社員数は、現在では約170人にまで増えた。2019年4月に施行された働き方改革関連法に対してネガティブな反応をしている経営者は多いが、中田氏はこれをチャンスに変えていきたいと言う。
「働き手が何を求めているのか想像することが大事。昔はとにかく給与面でしたが、若い世代は収入よりも時間に価値を置く人も多い。ですから勤務地や時間などについて、柔軟な仕事環境を提案したほうが人を集めやすいのではないか。長く働いてもらうのもありがたいですが、うちをスキルアップのためのステップにしてもらってもいい。ただ仕事を提供するのではなく、働き方のアイデアや選択肢を与えられる会社にしていきたいですね」

また仕事環境の整備とともに取り組んでいきたいと思っているのは、業界のイメージアップだ。環境プラント施設の仕事は非常に公益性の高い事業であり、従事する人たちは誇りをもって取り組んでいるが、まだ世間にはいわゆる3K仕事というイメージがあるのが実情。
「そこで、SDGsに対して積極的に取り組んでいきたい。環境管理の仕事は、元々昔からまさにSDGsの目標に沿ったことを業務としています。そして通常の業務において環境を守ることに貢献し、プラスアルファで貧困の問題などにも視野を広げる活動を展開したいと考えています」

そのひとつとして、2019年末から行っているのが、廃棄されがちな企業カレンダーに替わってドリップコーヒーを贈る「GOEN Project」だ。コーヒー1杯につき5円が途上国の子どもたちに寄付される。
「小さなことですが、このような取り組みを行うことで、業界規模の課題に向き合い、誠実に対応する業界であるという価値を伝えながら、若者の注目を集める。業界のクリーンなイメージが広がれば、人材の確保も容易になり、素晴らしい技術も生まれると信じています。そしてこの仕事をいずれ憧れの職業にすることが夢ですね」

中田正樹

株式会社トリオ 代表取締役
https://torio-sp.com
※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。