
自費診療は最新・最短治療
「背骨、腰は体の大黒柱、痛みが我慢できなくなると動けなくなってしまいます。また、手術なしで治療できたはずの腰痛も、悪化してしまうと手術するしかなくなる、という例も少なくありません。まずは、悪化する前に来院してほしい。腰痛が治らないのは過去の話で、現在は腰痛の9割近くは治る可能性があると私は考えています」
腰痛に関する診断を早く、正確に下すために、あいちせぼね病院はMRIを4台、そのほかレントゲン、CTを加えた検査設備を導入している。たとえば脊椎の精密検査を行う場合、1〜2カ月かかる病院もあるが、当院の脊椎ドックと呼ばれる検査では、1日で済ませることができる。
「MRI、CT、レントゲンは医療保険制度上、一度に検査を行うことが難しいです。最大3回も来院することになり、患者さんはその間ずっと痛みを抱えたままです。当院では自費診療と保険適用の診療の違いをきちんとご説明した上で、自費診療をお選びいただいた患者様には一度に検査を行って診断を下し、手術が必要ならば次回の来院で行います。たった2回の来院で済ませる一発診断の一発治療です。これは圧倒的なスピードの違いだと自負しています」
こうした独自の取り組みは検査だけにとどまらない。手術についても、海外から最新の術式を取り入れて活用している。
アメリカへの留学経験もある伊藤氏の印象では、整形外科技術に関して、日本はアジア諸国やアメリカに大きく先を越されている。そして、腰部の手術は、内視鏡を使った低侵襲治療がメインとなっているが、その技術は海外でも日を追うごとに進化している。
「現在、日本で認可されているのは16ミリと7ミリの内視鏡治療ですが、私は3ミリのものも使用します。患者さんの多くは高齢者ですから、体の負担を軽減するよう心掛けなければなりません。そのためのベストな選択とは何なのか。そこを突き詰めて考えた結果、一般に国内で使われている内視鏡より細いものを使って手術を行うべきだという結論に至りました」
伊藤氏の見解では、日本の保険診療の範囲は狭く、海外の新しい技術は保険適用になるまで相当な時間がかかる。現場の実情に対し、医療行政のスピード感が圧倒的に足りていないため、新技術を採用するとなると、自費診療にするしかないのが現状だ。同院で行っている1日検査や内視鏡治療などは、日本で未だ認可していないため自費診療となるが、その治療を求めて遠方からの問い合わせもあるという。
「最新の技術でより早く患者さんを助けたい。この理想を追求するために、自費診療という選択肢も取り入れていくことは必要だと思っています。保険適用外なので、費用はかかりますが、その分新しい技術、最新の検査機器での医業を貫いています」