Powered by Newsweek logo

井上貴夫
INOUE TAKAO

井上貴夫

株式会社エアフォルク 代表取締役

需要拡大を続ける運送事業で、
唯一無二の組織づくりを目指す戦い
大手運送会社でのドライバー勤務を経て、2007年に軽貨物運送業を生業とする株式会社エアフォルクを設立した井上貴夫氏。その経営者としての手腕は業界でも一躍脚光を集め、現在は600名体制を誇る一大組織へと成長。今期の売上予測は22億円となった。その大半は軽貨物運送事業によるものだが、「まだまだ関連事業を拡大できる余地はある」と井上氏は意気込む。その先に見据える未来とは──。
井上貴夫
時代に即した働き方を提供できる会社

昨今、ECサイトの普及なども手伝い、急激に需要が拡大している運送業界。ひと昔前に比べ、個人向けの流通が増えたことが運送需要を後押ししている。その需要と比例するように、同社の売上は創業以来から右肩上がりを続けてきた。取引先には大手運送会社が名を連ね、軽貨物を中心とした宅配業務などの重要な受け皿となっている。

ドライバーをはじめとする従業員の年齢層は20代から60代までと幅広く、最近は女性ドライバーの活躍が目立つのも同社の特徴。需要拡大が続く業界の中での仕事ということもあり、仕事量も安定し、給与は業界平均よりも高い。仕事の性質上、働く時間の自由が利くことも大きなメリットになっている。シングルマザーなどからの応募が増え続けているのも、そうした働きがいが要因に繋がっているのだろう。

「運送業界に限らずどの業界においても、時代とともにニーズや市場は変化していきます。だからこそ時代にあったものをやっていかないと生き残れないですし、それは働く人も同じ。現代では待遇面を視野に入れる方も増えましたし、働き方に多様性が生まれました。時代の変化に伴って一人ひとりのニーズにあった働き方を提案していける会社であり続けたいというのが私の考えです」

しかし人材不足のなか、雇用を増やし続けることは決して容易いことではない。実際に同社はドライバーを常時募集しているが、需要拡大に伴う人材の確保は、一つの鍵を握ることになりそうだ。「とくに最近は競合他社も増えたので、自社の独自性を打ち出す必要性を強く感じています。従業員を守るためにも明確な目標設定を掲げ、もう少し戦略的にやっていくべきだと考えているんです」と井上氏も危機感を募らせる。

井上貴夫
業界内での差別化を図り、社員を幸せに

その取り組みの一つが、人材教育や育成の強化だ。とくに同業界では、個人事業として業務委託を受けるドライバーの割合が増加。組織に属していない非正規雇用の従業員であるため人材の教育が浸透しづらく、育成に力を入れることが困難だという現状が浮き彫りになってきている。

「しかしお客様に商品をお届けするうえで、ドライバーによって品質が変わってしまうことは絶対にあってはならないことです。だからこそ人材教育に重点を置き、業務委託のドライバーに対しても独自の管理体制を設け、他社との差別化を図るようにしていきたいと思っています」

実際に同社では、現場に出るまでのスケージュール管理を徹底し、過去の配送におけるクレーム事例など様々な情報を共有しながら、研修にも多くの時間を割く。「社会人として恥じない、超一流と言われる人材を育てること」をモットーに掲げ、挨拶や言葉遣いなど、細かな作法も徹底的に教育していく方針だ。

そして、業界内で差別化を図るためのもう一つの取り組みとして注力しているのが、軽貨物運送業に付随した関連業務の内製化だ。
「例えば業務委託でドライバーに仕事をお願いする場合、自前で車を用意できない方もいます。そういう方のためにレンタル車両を用意し、仕事をお願いしていく。車両に乗れば必ずメンテナンスも必要になるので、修理や車検手続き業務などを請け負う車両部門の事業も立ち上げていく予定です」

現在は車両保険代理事業を展開するほか、レンタル事業では40台の車両を保有するなど、関連業務の内製化を推し進めている最中。「いずれは当社をホールディングス化して配送・車両部門、保険内裏部門などといった子会社を立ち上げる目標をもっています」と井上氏。安定した事業展開を促すことで人材の定着や社員の働きやすさに繋げていくことが真の狙いだ。

「今後も事業を続けていくなかで、私一人の力では何もできないことはわかっています。ですから、自分と同じ方向性を持つリーダーも育てていかなければと思っているところ。エアフォルク発の経営者を生み、全国に向けて事業所も増やしていきたい」と井上氏は今後の展望を語る。

そして同社が目指す理想像は、「日本一のドライバー集団を創出し、唯一無二の軽貨物運送会社にすること」。そのための一歩として掲げる来季の売上目標は25億円。今まさに、理想の実現に向けた足場を着々と積み上げているところだ。

「経営者として大切にしていることは、当たり前のことを当たり前に実行していくこと。その積み重ねが、理想を現実にしていくと信じています。車の運転でもそうですが、慣れが一番怖い。だからこそ、当たり前にできる大切さを忘れちゃいけないと思っています。気が緩まない状況を作るためにも社員との意思疎通や情報共有も重要ですし、そこだけは創業時から変わらず続けていることですね」
井上氏はこれからも当たり前を当たり前に続けていきながら、過去に例のない軽貨物運送会社の実現に向けてひた走る。

井上貴夫

株式会社エアフォルク 代表取締役
https://erfolg-ltd.co.jp/
※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。