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武野龍
TAKENO RYU

武野龍

株式会社アダル 代表取締役社長

挑戦への連続で、変化と永続を叶える老舗家具メーカー。
「はたらく家具をつくる」をキャッチフレーズに、飲食店や、オフィス、ホテル、ショッピングモールといった場所で利用される椅子を中心とした企業向け家具を製作している株式会社アダル。創業60年以上という長年積み重ねてきた揺るぎない匠の技に、時代の風を取り入れ、空間に新たな価値を生み出し続ける老舗企業の新たなる挑戦とは。
武野龍
お客様のニーズから商品を形作り、長く愛用していただく。

企業向けに作る業務用家具とは、私たちが日常生活で使用する一般用の家具と、目的も作りも異なる。業務用家具もまた、オフィスで使うのか、飲食店で使うのかによって、クライアントのニーズも変わってくるため、家具とひと口にいってもそのバリエーションは多岐にわたる。
「例えば、飲食店からの椅子のオーダーがあったとします。お店にとって家具は主役かというと違いますよね。家具が素敵だから行きたい、というのはお店を訪れる第一の理由ではないはずです。ユーザーにとっては、あくまでもお店で提供する食べ物が目的であるはずです。家具は、経営の道具の一つでしかありませんので、その脇役である家具に付加価値を加えるとすれば、クライアントがどこまで付加価値に重きを置いているかで予算も変われば、手法も変わってきます。それを引き出し、形にするのが僕らの仕事です」と話すのは、代表取締役社長の武野龍氏である。

集客のために椅子に付加価値をつけたいといった場合、例えば座りながらスマホを便利に使える機能を備えつけたり、女性がくつろぎ長く居たいと思う場所にしたいといった場合は、女性が気兼ねなく座れる椅子の高さにこだわったりと、クライアントの目的からどういう付加価値をつけていくかを具体化していく。見た目の良さや、値段の手頃さという、ありがちな家具選びの基準ではなく、クライアントのニーズにいかにマッチした提案を出せるかどうかがアダルの仕事の真骨頂なのだ。

安い家具をネット販売で気軽に購入し、消耗品ともいえるスピードで買い替える時代の今、同社が大切にしている理念とは、老舗家具メーカーとして誇れる耐久性とデザインを併せもった家具を、長く愛用してもらうことだ。妥協を許さない本物志向の家具作りがクライアントの信頼を集め、最近では、業務用の家具以外のオーダーも増えており、新たなジャンルへの挑戦が続いている。映画のセットに使われる家具や、施設への集客用ツールとして使う大物家具など、クライアントがどこの業者に依頼をすればいいか悩むなかで、相談を受けることからオーダーにつながることが多いという。

武野龍
IT技術が生み出す新しい可能性

最近では、プロ野球・福岡ソフトバンクホークスの女性ファン「タカガール」の集客目的で、屋根のある福岡ドームの特徴を生かし、ピンク色のソファーをスタンドに配置した。クライアントが実現したいことを、家具メーカーとしてどう形にできるか一緒に考えるのがスタート地点。そういったアイディア出しでは、若手社員も活躍をしているという。

「若い人たちは、年配層には出せないアイディアをたくさん生み出す。私は、頭を悩ませる難しい仕事ほどチャレンジして欲しいと思っています。これまで私たちが会社を存続させることができたのは、一つ一つの経験をストックし、会社の技術にしてきたからです。当たり前の仕事をこなしていくよりも、やったことのない難しい仕事こそ、新しくストックされる価値ある経験を生むはずです。そして何よりも、どうしたら良いか困っているお客様の力になってあげたいという気持ちが強いですね」

クライアントファーストでありたいという気持ちから、業界初のサービスを生み出す挑戦も始まっている。厚いカタログが基本であった家具選びに、IT技術を導入しようとしているのだ。まずは3Dプリンターでミニチュア家具を製作することで、イメージを掴みやすくすることはもちろん、試作品を作るコストを削減し開発スピードも上げた。次にAR技術を使い、バーチャルで家具を配置したイメージを確認できる仕組みを作っている。いずれは、マップ機能を連携し、バーチャルで確認した家具が、実際に使用されている店舗をマップで見つけることができるツールを目指している。「点で落ちている情報を、IT技術でアダルが中心となって結びつけることで、新しいつながりを産みたいと思っています。IT技術を取り入れれば可能性は広がります。人間がかけないようなデザインもコンピューターが可能にするかもしれない。どこまでできるのかチャレンジが楽しみです」
老舗である誇りと信念をもち、新しいものを見つけては果敢にチャレンジを試みる熱い姿勢があるからこそ、株式会社アダルの成長は止まらないのである。

武野龍

株式会社アダル 代表取締役社長
https://www.adal.co.jp/
※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。