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鈴木孝
SUZUKI TAKASHI

鈴木孝

株式会社SFM 代表取締役CEO

独自アルゴリズムによる世界最高レベルのAI型顔認証技術で、安全と平和と健康をもたらす
コンピュータのマシンパワーが飛躍的に向上した現代、AI(人工知能)は指数関数的に進化を遂げ、世界各国のIT系企業を中心に開発競争が激化している。株式会社SFMはこのAIに関する研究を「人間の脳のメカニズムの研究」ととらえ、顔認証分野におけるAI研究を推進し、世界最高水準の技術力で独自の製品開発を行っている。高性能AI開発の最前線を行く企業のトップに話を聞いた。
鈴木孝
世界にまだ見ぬ技術の確立をめざし、人材集めに奔走

「以前は経営コンサルタントをしながら、情報・金融分野のスタートアップ企業への出資を行っていたのですが、それを続けているうちにいつしか、もっと広く社会に貢献できるような、世界レベルの技術をもつ人材と一緒に会社を興したいと考えるようになったのです」
株式会社SFM代表取締役CEO鈴木孝氏は、同社設立の動機についてそう語る。その思いを実現した今、東京・上大崎に本拠を置く同社は、革新的な技術をベースに先進的で顧客フレンドリーな商品やソリューションを、世界のあらゆる地域に住む人々に提供することを理念とする「未来型高度総合セキュリティ企業」として躍進を遂げている。

会社を設立するにあたり鈴木氏は、見聞を広げるため世界中を旅してまわった。そのなかで、IT先進国の高度に発達した技術や知見にふれ、脳科学を基にした生体認証システムの重要性と可能性に気付いたという。
「やるからには、まだ世界のどこにもない、誰も見たことのないものを作りたいと思い、生体認証のなかでも一番高度な技術を必要とする『顔認証』に挑戦しようと決意しました。それから5年もの年月をかけて莫大な設立資金を集めつつ、優秀な人材集めに奔走したのです」

鈴木氏はこの人材集めに最も時間と労力をかけた。世界トップクラスの大学で教授になれるような世界最高水準の技術をもつ人材にコンタクトをとり、三顧の礼を尽くして創業者待遇として招聘(しょうへい)した。若手エンジニアにも自ら足を運んで会いに行き、誠心誠意を込めて「一緒にやろう」と口説いた。若い彼らは皆、夢をもっていて、なかには「いずれアップルやグーグルに匹敵する会社にしましょう」といってくれた人もいた。鈴木氏はそんな彼らの夢を必ず実現すると約束し、仲間を一人ひとり増やしていったのだ。

エンジニアには20〜30代の若手を採用したが、事務部門や管理職などには40代の中堅を引き入れた。会社の支えを盤石にし、若手が全力で伸び伸びと開発できる環境を用意したのだ。さらに中堅メンバーは若手の才能を引き出す役目も果たしてくれた。そうして誕生したのが、SFM独自のアルゴリズムによる世界最高レベルのAI型顔認証技術『先端的三次元顔認証システム』だ。

その技術を活用した一例が、この春、名古屋鉄道グループ・群馬大学・NTTデータらと協力して行った、愛知県内での自動運転バスの実証実験だ。同社はこの実験の一環として行われた「乗車時顔認証システム」の実証実験に、顔認証エンジンおよび実験用機材を提供した。
「振動が強く、しかも屋外で明るさが一定でない環境の顔認証は非常に難しい。国内で実用化が可能なのは当社だけという自負があります」と鈴木氏は胸を張る。

独自のAI型顔認証技術で一定の成果を挙げたSFM。しかし鈴木氏に慢心はなく、早くも次のステージへと歩みを進めている。

鈴木孝
「病気で苦しむ人を減らしたい」という思いが、技術革新を加速する原動力に

鈴木氏がめざす次のステージ、それは「医療業界」だ。すでにさまざまなAI技術が医療現場で活用されているが、2019年、独自のAI型顔認証技術を応用し、非接触で脈拍を計測できる医療用カメラソフトを開発、製品化にこぎつけた。
「このカメラであれば患者との距離が1メートル離れていても計測が可能です。さらに、昨年(2019年)12月には不整脈も非接触で診断できるレベルになりました。今年中には血圧も同様に計測できるようになる。脈拍も血圧も、どちらも5メートルの距離からでも計測できるように改良を進めていく予定です」

医療業界への参入は、鈴木氏の「非接触での乳がん検診を可能にしたい」という思いから始まったものだ。国立がん研究センターの2019年の統計予測によると、乳がんに罹患する可能性のある女性の数は9万2200人。乳がん検診をためらい、そのために早期治療のタイミングを逃している女性も多い。
「検診自体が強い痛みをともなうなど、女性がためらう理由が多いのも事実。乳がん検診の一部でも非接触で行うことができれば、女性の精神的、身体的負担を減らせるのではないか」

病気で苦しむ人を少しでも減らしたい。鈴木氏のその強い思いから、技術革新は日々速度を増している。AI型顔認証システムを応用して人間の脳機能を診断する技術も開発中だ。完成すればより多くの人々の命を救うことができる。
「まだ詳細は話せないのですが、さらに現在、ある病気を『予防』するためのカメラソフトの開発を行っています。自覚症状が出てから医師の元を訪れても、その時にはもう手遅れ、ということの多い病気なのですが、ある医師の方から『あなた方の技術ならできる』と背中を押していただき、開発に踏み切りました。また、今後は複数の臓器についても、からだの外側から検査をすることができるカメラソフトを開発する予定です」

2020年、技術はさらにその活躍領域を広げる。道路の防犯カメラに同社の最先端の技術が導入される予定で、これは、設置された複数のカメラ同士が自動的にコミュニケーションをとることができるというもの。ある1台のカメラが怪しい人物をとらえたとすると、瞬時に他のカメラにも情報が共有され、まるで本物の「人の目」のようにその人物を追いかけ続けるのだ。実装されれば間違いなく、事件や事故などを未然に防ぐことができるようになるだろう。

高度なAI型顔認証システムで迅速な個人の認証を可能とし、痛みをともなうことなくからだの不具合を発見し、さらには事件や事故の発生も抑制する。その先にあるのは、人々が健康に暮らせる、安全で平和な社会の実現だ。鈴木氏はこれからのビジョンについて、「最先端の技術をさらに追求し、『未来の守り人』になる」と力強く語った。同社の躍進はこれからもまだまだ続く。

鈴木孝

株式会社SFM 代表取締役CEO
https://smart-facematcher.co.jp/
※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。