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小守智
KOMORI SATOSHI

小守智

株式会社ランドトラスト 代表取締役

地域の不動産会社が抱える課題に共に向き合う。
日本における民間の賃貸住宅は、現在1600万戸。そのうち約400万戸が空室となっていると言われるなか、その空室に頭を悩ませる地域の不動産会社の救い手となっている株式会社ランドトラスト。媒介を行うのではなく、一室から借り上げ、貸主としての事業展開は、不動産業界の常識を覆すものとして、注目を集めている。借り上げ物件の質を選ばずとも、高い確率で客付けし、効率的に実績を重ねてゆく事業の背景をひもとく。
小守智
客付けまでを自社で行う独自のシステム。

株式会社ランドトラストの強みは、地域の不動産オーナーや不動産企業が諦めを抱く、埋まらない空室物件を、独自の事業手法によりほぼ100%という高確率で、着実に客付けしていることにある。供給過剰による空室問題は、業界全体が抱える大きな問題であるが、その課題に悩む地域の不動産会社と一緒になって解決に向き合う姿勢は、厚い信頼を集めている。
「私たちが扱っている物件は、築年数は平均30年、最寄の駅からの徒歩分数は平均16分と、決して好条件とは言えない物件が集まっています。パートナー企業は現在665社で、そのほとんどが都心ではなく、賃貸物件が溢れてしまっている地方都市にあります。インターネットを活用できていなかったり、値付けや効果創出がうまくできていなかったり、理由は多種多様ですが、自社ではどうすることもできなくて困っている不動産企業の負担を借り上げという形で減らし、サポートすることが我々のミッションです」と話すのは、代表取締役小守智氏である。

不動産業界では、売買、賃貸いずれにしても双方代理を行う媒介型が一般的だ。
双方から仲介手数料を得ることで利益を出すわけだが、同社は媒介を行わず、貸主側の立場として営業を行うという画期的な手法の仕組みを作り上げている。
「貸主は高く貸したい、借主は安く借りたいのは当然であり、その双方の代理を行うというのは一体どちらの利益を優先すれば良いのかわからず、担当営業は二枚舌の状態に陥ります。これは決して健全とは言えませんが、業界内では当たり前の状態になっており、誰もそれを変えようとはしてきませんでした」

借り上げた物件はすべてポータルサイトでのみ集客を行い、他社と比較できる状態にしている。リノベーションのように物件改良にコストをかけることはせず、価格訴求のみにこだわることへ一本化している。
「不動産というのはプライシングがすべて。営業担当がそれぞれに値付けを行うことはしません。本部にプライシング専門の部署を設け、全国の物件の金額を徹底的にリサーチし、借り上げ価格と賃料を決定しています」
借り上げ業者においては、仲介会社に客付けを依頼することが一般的であり、自社で完結していることは珍しい業態だという。

小守智
中長期計画と効率化が、成功する組織を作る。

業界全体が抱える仕組みに疑問をもち、新しいビジネススタイルを創出した小守氏の組織の作り方はシンプルでありながらも、効率を追求した緻密な事業計画によるものである。
「社内での役割を細かく分業制にしたことは、会社の組織化を成功させる鍵でした。専門分野を分けることで、一人が複数の業務を抱えないよう効率化を図り、働き方を健全な状態に保っています」
この取り組みは社員の残業時間を大幅に減らしている。定時15分前から仕事が終わっていれば帰って良いというルールも敷かれ、活用する人も多く、転職してきた社員からは驚く声が多いそうだ。残業勤務が多いと言われる不動産業界においては、非常に珍しい成功事例と言えるだろう。

「業務効率化のために、適所適材の人事配置にも気をつけています。現在パートタイムを含めて90人ほどのスタッフがおりますが、社内SNSのスレッドはすべて目を通していますので、ほぼ全員の素質は把握しているつもりです。ただし、社長である私が直接社員と接することはしません。業務相談やコミュニケーションも、直属の上司を基本とし、和気あいあいとしながらも、人間関係の仕組みや評価制度もシンプルであることを徹底しています」
360度評価や、プロセス評価を取り入れる企業が増えるなか、あくまでもわかりやすさを追求し、結果評価のみとしている。一見厳しいように聞こえるかもしれないが、それが社員の適所適材配置へとなり、最も活躍できる場所への配置につながっているのだ。

「この仕組みを作るためには、ある程度の会社規模が必要でした。赤字覚悟で規模拡大に専念し、計画通りに歩みを進め、黒字化に成功。今は2022年の上場に向けて、準備を進めています。想定内の赤字期間であっても、不安だという社員ももちろんいました。しかし、すべては細かな事業計画に落とし込んであったので、辛い時期も私にとっては不安ということはありませんでした。きちんとした目標設定と、中長期的な計画を作ることが仕事においては大切であると、社員には伝え続けています。近視眼的にならず、人生の計画をもち、軌道修正をしながら恐れず歩んでいってほしいと思っています」
有言実行を貫く小守氏の、仕事へのスタンスに憧れを抱く社員も多いという。緻密な計画により作り上げられた組織の形が、個のモチベーションを上げ、事業を成功へと導いている。

「上場後は調達資金を活用し、ファンドビジネスやM&A事業などを始める予定です。今の事業をベースに、2層、3層と新規事業を積み重ねていくことが、これからの私のチャレンジです」
小守氏の新たな挑戦へのスタート地点が、まもなく目の前に見えようとしている。

小守智

株式会社ランドトラスト 代表取締役
https://landtrust.co.jp/
※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。